本音を大切にしよう、自分の気持ちを大事にしよう。
そう言われることは増えましたが、
「じゃあ本音って、どう扱えばいいの?」と感じたことはありませんか。
思っていることを正直に言うことなのか。
心に浮かんだ感情を、そのまま信じることなのか。
実は、本音をひも解くというのは、強い気持ちをそのまま言葉にすることではありません。
本音は、いくつかの層になっている
対話セッションを重ねていく中で気づいたことですが、私たちの心の中にある本音は、ひとつの塊ではなく、いくつかの層になっています。
いちばん表に出やすいのは、
- イライラする
- 疲れた
- もう無理
- どうして私ばっかり
といった、感情的な反応や不満に近い部分です。
これらも大切なサインですが、この層だけを見て答えを出そうとすると、自分や誰かを責めることになりがち。
「本音で正直に人と向き合いたい」と思いながらも、実際に会話を始めると戦いモードになってしまうのはそのためです。
この層は、本音(仮)という感じ。
自分の気持ちをそのままに感じるのは大事でありつつも、もっと下、もっと奥があります。
その奥にある「痛み」や「ためらい」
強い感情の奥には、これまでに受けてきた心のダメージを繰り返さずに、自分を守りたい気持ちが隠れていることがあります。これが第2階層。
- これ以上、無理をしたくない
- 大切な関係を壊したくない
- 間違えたくない
- 見捨てられたくない
こうした気持ちは、単にネガティブなのではなく、自分の心身を守るために生まれています。
この層を飛ばしてしまうと、どんなに前向きな答えを出しても、心がついてこなくなります。
「何かを願っても、実際には動けない」
そんな時にはここが無視されているかも。
痛みを伴う本音とそこに伴う願い。これを感じることが大事です。
さらに奥にある「願い」
感情やためらいの奥には、その人なりの「深い願い」があります。第三階層。
- 大切に扱われたい
- 安心して関われる関係でいたい
- 自分らしく力を使いたい
- 納得して選びたい
願いは、「こうしたい!」という具体的な主張ではなく、もっと静かで、長く続く方向性のようなものです。
だからこそ、急いで言葉にしようとすると、すり抜けてしまいます。
頭で考えるというよりは、もっと奥深くの心で感じるというか、内側に暖かく灯が灯るようなそんな感じで現れたりします。
願い・ニーズと呼ばれることがあるし、私は本音(真)みたいに呼んだりしています。
人と本音で語り合いたいというときには、本音(仮)ではなくて本音(真)を指しているはず。
自分でもまだよくわかっていないと、仮の本音で傷つけあってしまう。
まずは自分の本音をひも解いていくと、真の本音に出会えます。
「ひも解く」とは、順番を守ること
本音をひも解く、というのは、
- 不満やネガティブな感情を感じる
- その奥の痛みやためらいに気づく
- さらに奥にある願いに触れる
というように、内側をほどいていくプロセスです。
一度に全部わかろうとしなくてよくて、むしろ、一気に何とかしない方が結果早い傾向があります。
今、どの層にいるのか。
何を感じている段階なのか。
そこを見極めることで、本音は少しずつ、使える形になっていきます。
では、こうして見えてきた「願い」は、人生の中で、どんな役割を持つのでしょうか。
次の記事では、
「人生の軸」とは何か。
なぜ願いが、軸になり得るのか。
ここをもう一段、話を進めていきますね。

